歯の移植(自家歯牙移植)
歯の移植(自家歯牙移植)
歯を抜いた後の治療としてはブリッジや義歯、インプラントが一般的ですが、かみ合わせに関与していない歯があれば(一般的には親知らず)歯を移植することが可能かもしれません。ただし、親知らずを綺麗に抜歯する必要があるので、抜歯が上手な人にしかできない処置の一つです。歯の根の形など適応は限られますが、インプラントと違って保険診療なので、親知らずを抜くこともできれば一石二鳥です。右の写真では大きく虫歯になってしまった7番目の歯を抜歯して、横に生えている親知らずを7番目の歯を抜いたところに移植することを計画し、実施しました。
右下(向かって左下)の真ん中の歯は感染して歯周病になっているので、抜歯適応です。この歯を抜いてしまうと右下は一般的には入れ歯かインプラントしか治療の選択肢はありません。
患者さんはまだ若く、なんとか入れ歯を回避してほしくて左上の使っていない歯を抜歯したところに移植することを計画しました。写真は移植直後のレントゲンです。左上の歯が抜けて、右下に歯が移植されているのがわかると思います。移植直後は当然、生着していませんが数週間固定して安静にしておくと骨とくっつきます。
移植した歯が生着したことを確認してブリッジにしたところです。このように歯の移植ができれば使っていない歯を有効利用することができます。さらに歯の移植は保険治療なので、親知らずを抜歯して移植ができれば一石二鳥のとても有効な治療方法です。
●移植に使う歯は必ずしも親知らずである必要はありませんが、一般的にはかみ合わせに関与していない歯なので、親知らずが多いです。ただし、親知らずでも根っこが曲がっていたり、肥大していたり、根っこが2本に分かれているときは移植には不向きな場合もあります。